【10大脅威組織編】機密情報を狙った標的型攻撃 【第5位】
はじめに
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が発表した「情報セキュリティ 10 大脅威 2026」の組織の脅威 第 5 位に「機密情報を狙った標的型攻撃」がランクインしまし た。標的型攻撃は単体の技術的手口として脅威であることはもちろん、近年では地政 学的リスクを背景に、政府機関や特定のセクターに潜入し、組織内部の機密情報を窃取するサイバー攻撃事例も確認されています。
標的型攻撃とはどのような脅威か
「情報セキュリティ10大脅威 2026」の解説によれば、標的型攻撃とは、特定の組織(民間企業、官公庁、団体等)に対して行われる「サイバーエスピオナージ(サイバー諜報活動)」であり、主に機密情報の窃取を目的としています。攻撃者は社会の動向や慣習の変化に合わせて攻撃手口を変える等、標的とする組織の状況に応じた巧みな攻撃手法で目的を果たそうとします。
政府機関や特定のセクターの組織や企業から機密情報が窃取・悪用された場合、事業継続や国家の安全保障等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、データ削除による業務妨害、サプライチェーン上の関連組織への攻撃の踏み台としての悪用、暗号資産窃取による攻撃組織側の資金源化など、組織の規模や業種を問わず狙われるおそれがあります。
攻撃手口
不正アクセス
標的組織が利用するクラウドサービスやWebサーバー、VPN装置等のネットワーク機器の脆弱性を悪用するほか、流出・窃取された認証情報や脆弱な認証管理を悪用して不正にアクセスし、組織内部へ侵入、不正アカウントの作成、バックドアの設置などアクセス手段を確保し、長期的に潜伏することもあります。
メールを用いた攻撃
業務関連を装った添付ファイルやリンクを含むメールでPCをマルウェアに感染させる手口で、実在する組織の差出人名が使われる場合もあります。
Webサイトの改ざん(水飲み場型攻撃)
標的組織が頻繁に利用するWebサイトを改ざんし、訪問者をマルウェア感染させる攻撃。
地政学的リスクと標的型攻撃の関係
「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、第6位に「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃」がランクインしています。これは、政治的に対立する周辺国に対して社会的な混乱を引き起こすことを目的としたサイバー攻撃を行う国家が存在し、外交・安全保障上の対立をきっかけに、嫌がらせや報復、周辺国の機密情報の窃取、外貨獲得等が目的とされると説明されています。こうした国家が支援する組織的犯罪グループや国家機関の職員等で構成されるサイバー攻撃グループが、社会的なインパクトが大きい組織や重要インフラ企業等を標的にサイバー攻撃を行うことで、社会的な混乱が引き起こされるおそれがあるとも指摘されています。
実際に国内・国外問わず、重要インフラや政府機関の情報窃取や機能停止を狙ったと見られるサイバー攻撃の発生が多数報告されるなど、標的型攻撃のリスクも増加しています。
対策と対応
標的型攻撃への対応は、立場ごとの役割分担が重要です。経営者層は、インシデント対応体制の整備やサイバー保険の検討、セキュリティ対策のための予算確保といった、組織としての備えを主導する必要があります。これに加えて、自組織がどのような地政学的リスクの背景に置かれているかを把握し、リスクを評価することも必要になっています。
セキュリティ担当者やシステム管理者には、より実務的な対策が求められます。
情報の暗号化等を含む管理・運用規則の策定、サイバー攻撃に関する継続的な情報収集、そして定期的なインシデント対応訓練を通じて、関係者やセキュリティ事業者と迅速に連携できる体制を整えておくことが重要です。加えて、社内で利用するエンドポイント機器(PCの端末など)やネットワーク機器、それに付随するアプリケーション等のセキュリティ整備により被害の予防と早期検知を図るとともに、取引先のセキュリティ対策状況の確認や海外拠点を含めた対策の向上といった、組織全体を見渡した取り組みも欠かせません。
一方、従業員や職員には、組織全体で実施される「情報セキュリティ対策の基本+α」(情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書[組織編]8ページ)の徹底が求められます。クラウドサービスの利用が浸透した現在では、従来の基本対策に加えて実施すべきものとして挙げられています。
いずれの立場においても、攻撃を受けそれを検知した後は事前に整備した対応体制に基づき、冷静かつ迅速に対応することが被害の拡大を防ぐ鍵となります。
「機密情報を狙った標的型攻撃」は、11年連続でIPAの10大脅威に選出されているとおり、依然として組織にとって重大なリスクです。標的型攻撃は、高度な技術と綿密な調査のもとで行われる事が多いため、経営者層によるリスクの把握と体制整備の主導、システム管理者による技術的対策、従業員一人ひとりの基本対策の徹底という多層的な取り組みを進めることが求められます。
IT技術が生活基盤となっている現代社会において、サイバー攻撃がビジネスや生活に与える影響は拡大し続けていると同時に、政府機関や重要インフラ企業などを狙った攻撃も増加しています。
FFRIセキュリティは、「サイバーセキュリティで安全保障を支える」をテーマに、日本発のセキュリティベンダーとしてサイバーセキュリティコア技術の研究開発を行うことで、日本のサイバー安全保障の課題解決に注力を続けてまいります。
2026-11-04
関連記事 Related Post
【10大脅威組織編】地政学的リスクに起因するサイバー攻撃【第6位】
【10大脅威組織編】サプライチェーン攻撃に対抗する新制度とは【第2位】
【2026年IPA 10大脅威組織編 第1位】深刻化するランサムウェア攻撃に対抗するには
「情報セキュリティ10大脅威 2026」が公表されました。
FFRI yaraiは、パターンファイルに依存しない先読み防御検出技術を徹底的に追及した「純国産エンドポイントセキュリティ」です。
FFRI yarai Home and Business Edition は、個人・小規模事業者向け「純国産エンドポイントセキュリティ」です。
最近の記事
特集
アーカイブ
HOME ≫ FFRIセキュリティ BLOG ≫ 2026年 ≫ 2026年11月 ≫ 【10大脅威組織編】機密情報を狙った標的型攻撃 【第5位】



