【10大脅威組織編】地政学的リスクに起因するサイバー攻撃【第6位】
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が発表した「情報セキュリティ 10大脅威 2026(組織編)」では、第6位に「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃」がランクインしました。昨年は、初選出で7位でした。
国際紛争や政治的緊張が高まる現在、この脅威は決して他人事ではありません。本記事では、情報戦の側面を除き、企業や組織が直面する技術的なセキュリティ脅威と対策に焦点を当てます。
地政学的リスクとは
地政学的リスクとは、地理的な位置関係や利害の対立による政治的・軍事的な緊張が、さらに広く世界経済や社会全体に影響を及ぼすリスクを指します。近年では、特に国家間の対立が激化する局面などにおいては、サイバー攻撃が政治的・軍事的手段として用いられることが増えています。
特に注目すべきは、国家の支援を受けた、あるいは関与が疑われる攻撃グループによる組織的な標的型サイバー攻撃です。彼らは単なる金銭目的ではなく、国家の戦略目標を達成するために、戦略的に重要なインフラや民間企業を狙います。
攻撃手口の一例
1. DDoS攻撃による業務妨害
標的組織のシステムに大量のデータを送りつけてサービスを停止させ、業務の中断と顧客からの信頼低下を引き起こす。
2. ランサム攻撃を偽装した侵入
身代金要求を装いながらも実際は機密情報の窃取やシステム破壊を目的とし、事業継続に深刻な影響を及ぼす。
3. ネットワーク貫通型攻撃
VPN機器などの脆弱性を悪用してネットワーク境界を突破し、内部システムへの不正アクセスと情報漏えいのリスクを高める。
4. スピアフィッシング
特定個人を狙った精密なメール攻撃により認証情報を窃取し、組織全体への侵入口とし、その後さらに被害を拡大させる。
これらの攻撃の根本的な目的は、国家戦略目標の達成です。具体的には、機密情報や技術情報の窃取、重要インフラの機能停止やシステムの破壊による社会的混乱の発生、経済的混乱で国家経済への打撃を与える、国際的信用の低下などです。また、国家の支援を受けたサイバー攻撃者は、潤沢な資金と人員を背景に、標的となる企業や組織を入念にリサーチし、取引先やグループ企業なども含めた中から比較的防御の薄い部分を狙うなども考えられます。
組織が講じるべき対策
経営者層は、地政学的リスクの影響を継続的に評価し、インシデント対応体制を整備することが重要です。有事の際に迅速に対応できるよう、セキュリティ対策に必要な予算を確保する必要があります。
セキュリティ担当者・システム管理者は、サーバーや PC、ネットワークに適切なセキュリティ対策を行う基本的な対策はもちろん、DDoS対策サービスの導入や、多要素認証(MFA)の徹底、バックアップの定期実施など、セキュリティ対策の充実の他、被害を受けた際の報告・連絡体制の構築や、バックアップデータからのリカバリ訓練など、対策が有効に機能しているかのテストも必要です。
従業員は、セキュリティ教育を継続的に受講し、不審なメール・電話への警戒を強化する必要があります。特にスピアフィッシング対策として、指示内容を別ルートで確認する習慣が重要です。
地政学的リスクに起因するサイバー攻撃は、組織の規模や業種を問わず誰もが被害を受ける可能性があります。また、これまでのセキュリティ脅威とは異なり、国家戦略の一環として実行されるため、攻撃の規模や執拗さが増す傾向にあります。企業・組織は今まで以上にセキュリティ対策を経営の最重要課題として捉える必要があります。
2026-10-07
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